2011年01月26日

2011年1月の観劇記

2011/01/08 (土) 15:00 彩の国さいたま芸術劇場
『藤井公追善公演』
弟子たちの作品と藤井公の作品。藤井さんの自由で大胆なところ、要するにイカれたところを弟子たちが継承していて安心した。
 
 
2011/01/09 (日) 15:00 神奈川県立近代美術館鎌倉
北村明子『《HITO》』
インドネシア人のおっさんとのセッション。3場30分ほど。おっさんがやたらにいい。胸が柔らかく隆起していて、腕や手先で集めた気が、ガンダムのように胸から下に放射される的な? 北村は「ディスコミュニケーション」なんて言ってたけど、おっさんは北村を深く信頼していて、語る必要性を感じていないだけのように見えた。それがお互いに自由さを与えていた。北村はスピードで踊りまくるのでなく、ねじりねじり、ねっちり踊った。
 
 
2011/01/10 (月) 14:00 座・高円寺
『座・高円寺ダンスアワード』
富山県高岡市の大学ダンスコンクールの入賞作数本を、ブラッシュアップして上演。意外になかなかおもしろかった。
 

2011/01/13 (木) 19:00 あうるすぽっと
『dance colors』
現代舞踊の人たちの小品集。コンクール作品なのだろう、数分のを10本くらいやる。感想は、大学生よりおもしろいものを作れないような体たらくで果たしていいのか、というところ。馬場ひかりがソロとグループ作品と二つ出していて、それはけっこうおもしろかった。グループ作品は各人の個性に依存していたのがよかったのかも。


2011/01/15 (土) 16:00 新国立劇場オペラ劇場
新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』
小林ひかる/デニス・マトヴィエンコ、厚木三杏
幕見。小林は最近ロイヤルで評価されているから見てみたが、もう完璧に予想通りだった。技術的に多少荒くなっても表現を重視するアプローチで、それが間違っているとは思わないが、それなら少なくとも表現面ではザハロワに勝つくらいじゃないとなあ…。「ザハロワならこのパドブレがもっとスムースで、これこれの表現になるのに」なんて思いながら見るのは切ない。胸から上はよかったが、所詮そういう話。
ジャンベは揃ってない。一人、前に出すぎるやつがいてぶち壊していた。新国立は、こういうレベルから頑張ってよくなってきたのに、また逆戻りなのかと暗澹たる思いに駆られた。
ガムザッティの厚木三杏は、芝居部分しか見られなかったが、迫力がすごい。やっぱりこの人は違うなあ。


2011/01/15 (土) 18:00 東京文化会館
ベルリン国立バレエ団『シンデレラ』
ヤナ・サレンコ/マリアン・ヴァルター、ライナー・クレンシュテッター
セミオノワを見たくないからこの回にしたのだが、サレンコの可憐さったらない。体の使い方も素晴らしい。これを見ない人はいったい何を考えているのか。冒頭のバーレッスンシーンで、周りとほぼ同じことをしているのに、もう全然違う。サレンコだけ明かりが当たっているみたい。この人は全幕向きのダンサーだな。


2011/01/16 (日) 16:00 神奈川県民ホール
日本バレエ協会神奈川ブロック『ジゼル』
斎藤友佳理/法村圭緒
オン★ステージ新聞に書く。
 

2011/01/17 (月) 19:30 神楽坂die pratze
『ダンスがみたい!新人シリーズ9シンポジウム』
一応「シンポジウム」と銘打ってはいたが、内容はやけにダラダラした講評会にすぎなかった。いくらしゃべるのが専門外とは言っても、4回も5回も同じ繰り言を並べられるとさすがにいらいらする。その点、花上直人やヒグマ春夫といった、自分で作品を作って見せる人は、ポイントが明確で、吸引力もすごかった。


2011/01/18 (火) 18:30 東京文化会館
ベルリン国立バレエ団『マラーホフ・ガラ』
おもしろかったが、振付的にはなんてことなかった。そのなかではベジャールの『これが死か』がよかった。リヒャルト・シュトラウスの曲で、自分の『舞楽』に似た、抽象性の高い色合いにしていた。ただちょっと長く感じた。『騎兵隊の休息』パ・ド・ドゥ、『せむしの仔馬』フレスコ、『アレルキナーダ』と、西側のバレエ団では最近あまりやらないものを多くやったのが珍しかった。
ダンサーでは、東野泰子に似たクラジィーナ・パブロワがよかった。踊り方も常に外に開く脚づかいが東野に似ている。ただあらゆる面で東野より一枚上手(二枚、三枚と上手なわけではなく、東野もここまでは十分到達可能と思う。だが東野は次回公演も干され気味で、なかなか伸びるチャンスに恵まれない)。上背から首を経て頭まで一体的に使うのもすばらしい表現となっている。ベアトリス・クノップもやたら正確でしっかりした踊り口でびっくり。こんなすごい人だったのか。セミオノワもかなりよい感じ。サレンコはこういう小品集ではあまり映えないなあ。
衣装はある意味でドイツ的だった。たとえばブルッフの『バイオリン協奏曲1番』の女性は肩出しドレスなのだが、デザイン上そうなっていても、実際にはフィギュアスケートの衣装みたいに肌色の生地で首までつなげている。それはダサいよ…。パリオペなんか、胸ポロリを一切恐れないで平気で肩なし衣装にしているのに。やっぱりドイツはドイツなんだなあ。


2011/01/20 (木) 18:30 東京文化会館
ベルリン国立バレエ団『チャイコフスキー』
エイフマン作品。西側だと20年前くらいのレベル。基本的にバレエの語彙しかないので、どうしてもすぐ飽きる。男性アンサンブルの振りが特にひどく、まるきり手下扱い。見ててもつまらないが、これを何回も踊らされる人たちが気の毒になる。女性の振りはそこそこで、パ・ド・ドゥ場面とか、全体の3割くらいはそこそこ見られる。基本的にマラーホフのプロモーションビデオだから、そんなものでいいのかも。
しかしロシアはいいなあ。こんな程度でカンパニーを37年間も維持できるんだものなあ。おまけに外国のカンパニーに作品を買ってすらもらえる。こんなんなら、日本国内にも買ってもらっていい作品はいくつかあるぞ。
今回のベルリンは指揮者がべらぼうによかった。シティフィルは近年けっこういいのだが、それがさらに3割増くらいにキラキラ光って聞こえた。まあ単純には、管楽器を楽にするために全体に音量を上げたってことかという気もする。指揮者はヴェロ・ペーンという人だが、パリオペとかでバレエを振る以外に、オペラとかも振る人らしい。オペラを振る人は舞台と会話をするのに慣れている。過去に聞いた指揮者の中ではベストかな。アニハーノフは手兵を振るときじゃないとパッとしないからな。


2011/01/22 (土) 14:00 新国立劇場オペラ劇場
新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』
小野絢子/福岡雄大、本島美和
ザ・雄大デー。雄大君、全幕主役がこれほど似合うとは知らなかった。伸びやかな立ち姿、動きのあるサポート、柔らかな踊り、素晴らしい。ほかはあまりパッとした人がいない。特にキャラクター役がパッとしない。王様の逸見は先日より落ち着いていたが、大僧正は先日の森田健太郎も今回の輪島拓也もてんでダメ。どちらも、もっと堂々と見せられるはず。前に重心を置かないこと、頭を引かないことが大事。あのかぶり物で頭を引いて顎を上げてしまうと、ほんとに情けなくなる。誰だよそんな風に教えたの。昂然と前上方を見上げるときも、胸〜首を強調して視線をつけるだけで十分のはず。
ガムザッティの本島、1幕2場はよかった。この日の本島を見ると新国のガムザッティはキャラクター役と理解されているようだが、本島について言えば、キャラクター役はわりとできるようになった感じ。ただし2幕で踊り始めると、もう(主役級としては)話にならん。首の使い方が特によくないが、牧系の弱点よね。
ニキヤの小野絢子は、技術的にはまあまあだが、音の取り方をあまり考えず、スースー流しているから、踊りにアクセントがなくて、気がつくと踊り終わってる、みたいなー。雄大君とも音楽性が合わない。雄大君が持ち上げようとしているタイミングで跳躍から着地するようなリズムになってしまっているところがあった。それに芝居が超大根。周りと芝居をやりとりしないで、自分一人でどんどん段取りを進めてしまう。2幕の結婚式など、誰から花かごをもらったのかしっかり示し、気鬱から喜悦、祝福へとしっかり気分を切り替えねばならないのに、全然できてない。3幕のパ・ド・ドゥのバリエーションもコンクールみたいな踊り。
本島も小野も、直そうと思えばすぐにでも直ると思うのだが、環境がよくないのかね…。守られすぎなのかな。
もっとも後ろの方にはいい人が何人かいる。今日は高橋有里と丸尾孝子をじっくり見られて眼福。ピンクチュチュ隊には大和雅美もいたが、さすがに高橋はイギリスで2番目にいいカンパニーで主役クラスだっただけある。踊りの中で脚が体の真下に来るところなども、楽をせず全部きちんと歯切れよくやっているし、脚を根元からしっかり閉じるので、開くときにターンアウトしてきれいに開く。
ブルー隊の丸尾は、どこがどうしていいのかよくわからないがいい。体の条件がいいのか、単に天才なのか。胸から頭へのつながりに広がりがあり、頭も腕もそれほど動かさないのにとても豊かに表情が出る。
西川貴子は頭を引くのがいつも気になる。自分からわざわざ頭が大きく見える踊り方をする必要はないと思う。レッスン風景の映像とかときたま見る機会があると、やはり目茶苦茶にうまい人という印象なのだが、舞台でそう思ったことは一度もない。もったいないことだ。
群舞では今村美由起がよくなっていた。研修所時代から決め手がない人で、一生コールドの中で地味に踊るのかと思っていたが、顔の付け方とかがきれいになった。これなら早晩、少し目立つ役が来るだろう。


2011/01/22 (土) 18:00 日暮里サニーホール
わびすけ舞踊倶楽部
在外派遣経験のある現代舞踊系の人たちのコンサート。んー、現代舞踊って本当に終わコンだなとつくづく思う。


2011/01/23 (日) 15:00 横浜赤レンガ倉庫1号館ホール
【Be.】『そこにあるだけで』
横浜ダンコレ入賞のご褒美で参加したスペインのマスダンツァというダンスコンペで一位を取ったことがある杏奈が、自分のカンパニーを立ち上げての公演。旧作の作り替え『Noise-act 2』と新作を上演した。
『Noise-act 2』はスピーディな作りだが、ダンサーにスピードと音楽性(というかタイミング感覚)がなく、振りのどこをどう見せたらいいのかもわかっていないのが辛いところ。若いダンサーには難しいし、それが全部できたところでH・アール・カオスっぽくなるくらいが関の山なので、この路線はあまり見込みがないように思う。
新作の『そこにあるだけで』は最近の杏奈っぽいゆらりゆらりとした動きを、杏奈を含む8人で80分弱、たっぷり踊り継いでいくもの。手に持ったLED灯や、上から円形に照らす薄明かり、舞台奥にしつらえた水盤に反射してゆらめく光など、照明の使い方が多彩。動きは、振り付けられた動きというよりも、身体の自発起動とか、斉一的な所作とか、そんなような感じ。定速をベースに呼吸の裏で円月殺法的に移行するなど蠱惑的。
ただ、女性のみの集団であることとか、スカートをたくし上げて脚を見せて踊るところとか、むやみに横一列になって踊り狂うところとか、浅い水盤で水をはねかすところとかが、BATIKっぽいと思われそうなのが損な気がする。とりあえず当分の間だけでも、杏奈ならではの個性をわかりやすく打ち出した作りにしておく必要があると思う。


posted by cadeau at 15:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。