2015年02月18日

新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』2015/02/17

新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』
2015年2月17日 19:00 新国立劇場オペラ劇場
小野絢子/ワディム・ムンタギロフ、米沢唯

新国の『ラ・バヤデール』、そこそこ以上にいい出来。まず演奏。東響、まだ不完璧だが目指す音楽はとてもよく、心の震えが弦に乗り移る感じ。今回はハープもうまい。精霊の山下りはまどろみの中から糸を引き出してくる感じが見事。全般に、指揮者が細かくテンポを変える意図を理解し、うまく対応している。

指揮はアレクセイ・バクラン。テンポを変えるのは、踊りやすいようになどという理由ではなく、どこを速くやってどこをねっちりやるかで、踊りというか場面の雰囲気を作ろうとしている。ただニキヤの小野絢子は昔風に時間を使って芝居したいタイプで、バクランの意図にいまいちついていけていない。速いテンポでも十分に芝居ができるようになればワンランクアップなのだが…。本島美和ならそういうのは得意そうだが、踊りが……。帯に短したすきに長し。世の中うまくいかんね。ガムザッティの米沢唯は、細かいステップがよりいっそう忙しく見えてしまう。小節の中だけで踊りを作ろうとしてるのかな。米沢は音楽性がずっと課題であり続けている。改善されれば望ましいが、フレージングが優れた若手は何人もいるので、米沢でなければならない理由は別にないと思う。

小野も米沢も上体をあまり動かして芝居していないのは大原さんの方針なのかな。今回は「心理バレエの傑作」などと銘打っているわりに、登場人物間での芝居のやり取りが薄く、ドラマが盛り上がらない。昨秋にボリショイでやった演目だからどうしても比較してしまうが、踊りで比肩するのは難しいとしても、芝居は頭の使い方一つなので(環境とか場数もあるけど)、そこで差がつくのはちょっと不満。特にラ・バヤデールは、表現が必要なときに音楽が力を貸してくれる演目。思う存分、音の波に乗って芝居して欲しいものだ。

ワディム・ムンタギロフは『眠り』のときよりいい。伸び伸びやっている。膝を横に張らないのが昔から不満だったのだが、今回は脚を広く使う感じ。跳躍の鮮やかさは以前から。ただ小野とは身長差もありすぎるし、近くに立ちすぎて、十分に踊らせることができていない。リハ不足とは思わないけど、相性がいまいちなのかな。米沢とは相性がよさそう。小野とも回数を重ねれば合ってくるかも。ただ、ムンタギロフ、ソロルは似合わないね。優男すぎる。少しでも野性味があればいいのに。海外からゲストを呼ぶのなら、こういう使い方はよくないと思う。

精霊の山下りの群舞はわりとあっさり脚を上げるんだけど、音をうまく使っているからとても音楽的に見える。これはマリインスキーの流儀かな? 岩陰から新しく出てくるときに、腕を上げるタイミングが周りに合っている人が3人に1人くらいしかいないのはよくないが、まあ大きな問題ではない。平地のアラベスクはぐらついている人が多かったが、初日だからかな。このへん、私はかなり寛容。

ジャンベのアンサンブルがあまり合ってないのは残念だった。位置もずれるし。自然にリーダーシップを取れる人がいないわけなんだけど、本番より前の時点で「マズい」と気づくだろ。プロなんだからそこで誰かがなんとかしないといかんよ。今回はいつもジャンベの今村美由起が乳母のアイヤに入ったからそのせいもあるのかな。今村はニキヤの小野と同期ということもあり、いまいち乳母っぽくない。脚が長いせいで腰が高いし、やや若すぎに見える。少し老けメイクしたらいいんじゃないの。

2幕のグラン・パ・ド・ドゥではピンク・ガールズがよかった。五月女遥が非常にクリアなモダニズムの踊りをしていたが、対照的に奥田花純が全体を一体としてとらえる息の長い踊りを見せ、ていねいにニュアンスをつけて出色。群舞では関晶帆もよかった。研修所の頃は少しギスギスした踊りだったが、入団してよくなり、今回などはゆったりとふくらみのあるフレージング。痩せすぎの体だけなんとかすれば出世するだろう。

寺田亜沙子がつぼの踊りをやっていたが、これってファースト・ソリストが踊るようなもの? キャラクターのソリストならいいが、寺田はそうじゃないでしょう。それほど好きなダンサーではないが、ある地位につけたのならそれを尊重してやらないとよくない。


posted by cadeau at 13:50| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。